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売れる文章講座

「出し惜しみ」で、世界は動かない。

まずは強く『吐く』『すべてを出し切る』こと。

 
私は、小学校の時に「水泳記録会」の選手に選ばれた事があります。夏休み中、毎日練習があって本当にヘトヘトでした。全然、遊べないし。真っ黒になるし。今なら、選ばれても、絶対に辞退しますね(笑)それは、ともかく、その時のコーチに「息継ぎのコツ」を教わったのですが、
 

『上手な息継ぎは、空気を吸おうとするのではなく、逆に、強く吐き出すんだ。
 そうすれば、自然と空気が入ってくる』

 
と、いうものだったのですね。つまり、中途半端に空気を吸おうとすると水を飲み込んでしまう、と。逆に、強く息を吐けば、反作用で勢いよく空気が入ってくる、という事だったんですね。その時は「なるほど!」と、いう感じで、ひどく感心した記憶があります。
 
 

■すべてを出し切ることを、恐れてはいけない。

 
文章を書く時も、全く同じです。新しい「何か」を吸収したいのならば、まずは現在の方法・考えを、一旦全部吐き出して目の前に広げてみることです。変な駆け引きや、中途半端な仕掛け、小手先のテクニックをすべて取り去って、まずは「今の自分全てを」吐き出しフラットな状態に整理してみるのですね。多くの人が無意識に行って失敗する、原因のひとつが、
 
「全てを吐き出して、ゼロになることが怖い」
 
と、いうことだと、私は考えています。全力を出し切らなければいけないことはわかっている。むしろ出し切りたいと思っている。でも「空っぽ」になることが不安で、無意識のうちに何かを残してしまう。セーブしてしまう。まだまだ余力があるから、と思うことで安心感を得ることもできる。
 
その気持ちはよくわかります。私自身、その葛藤との繰り返しの中で作業を続けてきましたから、よくわかります。でも「出し切ってしまって、後が続かなくなったらどうしよう」という気持ちが残っている間は、なかなか自分の壁を越えられないものです。越えられないから、のこりを小出しにして結局ゼロになってしまうことの繰り返しでした。
 
そこで「まずは全力で出し切る」ことに集中する。そのあとは「全力で、あたらしい知識や情報を吸い込めばいい!」と意気込んでいれば、出し切った以上の「何か」が入り込んできます。ふと立ち止まった書店の本棚で、次への課題が見つかったりします。あとはそれを頭のなかに流し込むのですが、空っぽですからすいすいと吸収されていきます。
 
小出しにしない。勝負所を間違えない。ここぞ、という場所が見えたならタイミングを見つけ、全力で息を吐いてみる。そもそも「出し惜しみ」をした表現で、他者の心を動かすことはありえません。まずは今の自分にできることを、目の前の課題に注ぎ込んでみましょう。出し切って空になった場所に何が流れ込んでくるか? それはあなた自身で体験してみてください。
 


伝わる文章講座  佐藤 隆弘 拝


リニューアルの追記
息を奥まで吸い込み、ゆっくりと吐く。この動作は、日頃から練習しておかないと「いざ」という時に身体がついてきません。ジョギングでも、いきなり10キロは走れないように。ふだんから身体器官を慣らして、あたためたり伸ばしたりしておくことが大切なのと同じですね。
 
リニューアルの追記(2)
20〜30代の頃は「全力で出し切る」ことも、さほど大変ではありませんでし。しかし、30代後半を過ぎ40代になると基礎体力が衰えてきて、出し切ることそのものが難しくなってきたように思います。30代後半くらいから基礎体力を鍛えておくことを習慣化しておくことが重要だと、体験から感じています。

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